高い塀は要らない

 今年の7月から、生活クラブが発行する情報誌「生活と自治」に、毎月小さな記事を書いています。フォーラム・アソシエの登録講師に情報を提供してもらい、五感を磨いて暮らしを豊かにするヒントを短い記事にまとめています。11月号はアドラー心理学に基づくワークショップの話でした。人間関係を縦の関係でなくフラットな横の関係で捉えられたとき、ありのままの自分を受け容れてよりよい方向に進むことができる。当たり前のようでいてなかなかできることではありませんよね。例えば、友人であっても心のどこかで見比べていたり、子どもに対しては別の人格であることを大切にしきれなかったり、あ~あ・・・と自分を残念に思うことがよくあります。

 たまたま同じ号に、料理研究家の枝元なほみさんがアメリカにあるゲーテッドコミュニティに招かれた時の感想を執筆されていました。「周辺を高い塀で囲い検問所を設け、住民以外の出入りを制限する住宅」では「犯罪から身の安全や財産を守るためセキュリティーに経費をかけ、弁護士を雇い精神科医にも頼る」など暮らしが際限なく高コストになり、そのためにもっとお金を稼ぎ、さらに高い塀が必要になるのだと。そしてちょうどこの記事を読んだころ、作家の村上春樹さんがデンマークの童話作家アンデルセンに因んだ賞を受賞し、誰にでもある影の存在を認めよう、もう高い壁は要らないとコメントされていました。

 遠くの人も見渡せるフラットな場所で、ダンス・ダンス・ダンス。

 

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コメント: 1
  • #1

    鈴木ミエル (金曜日, 11 11月 2016 04:56)

    「これが民主主義」という、
    IIHOEの川北秀人さんのコメントに納得してます。
    日本もこのまま格差を放置し、貧困を人ごとに見過ごせば、トランプのような政治家が現れる。知らないうちにそうなっているかもしれない。
    ヤミクロはすでに20年前からいましたよね。